カリソメだけど愛してほしい

徒然なる日々をつらつらと綴っています。

祖母の手記

私には 生き残っている祖父母が もう母方の祖母しかいない。もう 21歳だし まあそんなものか。徐々に 自分より上の世代の親族がいなくなってしまうのは 仕方のないことだと思いつつ 大変 心細いことでもある。今日は 父方の祖母が遺したメモを少し載せてみようと思う。父方の祖母は 女子美出身で 創造性に富み 非常に快活な性格の持ち主であった。季節の節目には しばしば 祖母の水彩画が描かれた葉書が送られてきた。また 私が幼かった時も 必要以上に 甘やかすような子供扱いはしなかったし むしろ 一人の人間として 対等に扱ってくれていた。そんな所が好きだと思った。

そして 彼女は とても整頓好きで マメな人間でもあった。癌を患って 入院するまで 日記をつけることも怠ってはいなかった。以前 父が掘り出したメモのひとつに 父の生誕に関する手記を見た。文章を書くのも 好きだったというのは あまり知らなかったけれど なんだか ちょっと淡白で明朗な祖母特有の文章からは 文才をひしひしと感じた。もう 彼女は亡くなっているので 許可を取ってはいないけれど どうしても 載せたいと思ったので チラ見せする。

 

 

19(土)

12時33分

男の赤ちゃんが生れました。もう赤ちゃんは生みたくない。


20(日)

お腹から赤ちゃんが出て、オギャーオギャーと云っている時、何も感じませんでした。顔を見たとたん、"あ、あざ。"とそれだけでした。今では、可愛くて可愛くてしょうがありません。


MEMO

お乳をのませました。1号室に実篤の"人間万歳"がかけてありました。人間万歳なんかなにさと思っていました。お腹の痛みが先ですが生れたとたんに、"あ、本当に人間万歳だ"と涙が出てきました。

 

 

"もう赤ちゃんは生みたくない。"の部分 シンプルに 笑った。人間万歳のくだりも面白いし。自分自身 文章を紡ぐことも読むことも好きなのは このような血筋に源流があるのかなと思う。いつか 自分の先祖を知るために 戸籍謄本とか遡ってみたいっすねぇ。